花粉による免疫機能低下とは?
免疫機能を維持する方法を紹介
花粉による免疫機能低下とは?免疫機能を維持する方法を紹介

花粉による免疫機能低下とは?免疫機能を維持する方法を紹介

春先などに訪れる花粉の時期には、鼻の不快感に悩まされている方も多いのではないでしょうか。この不快感は、花粉を有害な異物と見なした免疫システムの過剰な反応によるものです。

この記事では、花粉に対する免疫システムの仕組みや、免疫システムのカギを握る樹状細胞(じゅじょうさいぼう)の役割、免疫機能と腸内環境の関係について紹介します。また、酢酸菌の活用や生活習慣の見直しなど、免疫機能の維持に役立つ方法についても見ていきましょう。

免疫システムの基本的な仕組み

花粉による鼻の不快感は、花粉が体内に侵入した際に、体を守るための免疫システムが過剰に反応することで起こります。ここでは、異物が体内に侵入すると免疫システムはどのような反応を示すのか、基本的な仕組みを紹介します。

異物が体内に入ったときの免疫システムの反応

本来、免疫システムは、ウイルスや細菌などの病原体から体を守る防御機構です。
免疫システムは、体内に侵入した物質を監視し、それが有害であると判断すると排除しようとします。この反応の流れは以下のとおりです。

1. 異物が初めて体内に入ったとき

花粉などの異物を免疫システムが初めて検知すると抗体が作られます。作られた抗体は、免疫細胞のひとつである肥満細胞の表面に付着します。肥満細胞とは免疫細胞の一種で、ヒスタミンなどを貯蔵している細胞です。

2. 再び同じ異物が体内に入ったとき

再び同じ異物が体内に侵入すると、肥満細胞に付着していた抗体が以前に入ってきた異物と同じものであると認識。

3. 異物を排除するための反応を起こす

抗体は異物を有害なものだと判断し、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質を放出させます。
この化学物質が、鼻などの不快感を引き起こします。これらは、体外へ異物を排除しようとするための防御反応です。

樹状細胞の役割と免疫反応における働き

免疫システムを機能させる上で、司令塔のような役割を担っているのが樹状細胞という免疫細胞です。樹状細胞は全身に存在していますが、特に粘膜や皮膚に多く、ここで異物(抗原)を捕捉し、免疫系全体にその情報を伝える役割を果たしています。

樹状細胞が花粉を異物として認識すると、T細胞と呼ばれる別の免疫細胞に抗原情報を提示し、これによって免疫反応が進行します。この樹状細胞の働きが過剰になると、本来は無害であるはずの花粉などの異物に対しても過剰に反応してしまうことがあるのです。

花粉に対して免疫システムが過剰反応する仕組み

免疫システムは本来、体内に侵入したウイルスや細菌などの有害な異物から体を守るために機能していますが、そのバランスが崩れると、本来無害であるはずの花粉などに対しても過敏に反応してしまうことがあります。
ここでは、免疫システムが過剰反応する仕組みと、その要因を見ていきましょう。

免疫システムが過剰反応しているときに起こること

花粉などに対して免疫システムが過剰に反応するとき、主に以下のようなことが起こっています。

・抗体の過剰産生
前述したように、花粉が体内に初めて侵入したときに抗体が作られます。この抗体が過剰に作られると、わずかな花粉に対してもヒスタミンなどが大量に放出されてしまうのです。

・制御性T細胞の機能低下
免疫システムには、異物を攻撃する細胞だけでなく、攻撃を停止させる役割を持つ「制御性T細胞(T reg細胞)」という細胞も存在します。この制御性T細胞の機能が低下すると、免疫システムの過剰な反応を抑えきれなくなります。

これらのバランスが乱れることで反応が強まり、結果として鼻の不快感が強く生じてしまうのです。

免疫バランスが乱れる要因

免疫システムは非常にデリケートであり、日常生活におけるさまざまな要因によってバランスが乱れ、花粉などに対する過剰反応が起こりやすくなります。

特に自律神経の乱れは、免疫機能の低下につながります。自律神経の乱れを招くのは、睡眠不足やストレス、喫煙や飲酒などです。

免疫機能が低下すると、花粉による不快感が起こりやすくなるだけでなく、体全体の不調にもつながりかねません。したがって、日々の生活習慣を見直し、免疫機能を維持することが、花粉による影響を和らげるために重要です。

腸内環境が免疫に及ぼす影響

免疫細胞は全身にありますが、その約7割は腸内に集まっているとされています。そのため、腸は最大の免疫器官とも呼ばれており、腸内環境の状態が全身の免疫機能に大きな影響を及ぼします。
花粉に対する免疫の過剰反応を抑えるためには、腸内環境を良好に保つことが非常に重要です。

腸管免疫の役割

口から入る食べ物や空気には、細菌やウイルス、花粉など、さまざまな異物が含まれています。腸は、外部からの異物と直に接する最大の器官であり、全身の免疫細胞の約7割が集中しています。この腸内で働く免疫システムが腸管免疫です。

特に、腸の内側を覆う腸粘膜の下には、免疫細胞が密集した組織が多数存在し、異物の侵入を厳しく監視しています。腸管免疫の役割は、有害な病原体は徹底的に排除しつつ、無害な食べ物や、共存する腸内細菌に対しては過剰に反応しないようコントロールすることです。

この免疫システムが安定して働くためには、腸内環境が酸性に傾いている必要があります。酸性の環境では善玉菌が増殖しやすく、アルカリ性の環境では悪玉菌が増殖しやすいため、腸内が酸性に傾いていると善玉菌が優勢な状態になります。さらに善玉菌は乳酸や酢酸などを生成するため、腸内を酸性の環境に保ち、免疫細胞が適切に働く環境を整えることができるのです。

もし腸内環境が乱れて悪玉菌が優勢になると、免疫細胞の働きも不安定になります。その結果、花粉などの本来は無害な異物に対して過剰に反応しやすくなるなど、免疫システムの乱れにつながりかねません。

酢酸菌の特徴と免疫への影響

腸内環境を整えるには、善玉菌をサポートする成分の摂取が効果的です。そのうちのひとつとして、酢酸菌が注目されています。

酢酸菌は、ヨーグルトなどに含まれる乳酸菌と同様に、発酵食品に含まれる微生物のひとつです。酢酸菌は腸内の免疫細胞を活性化し、花粉などに対する過剰な免疫反応を抑える機能があることがわかってきました。

酢酸菌を含む食品と摂取のポイント

酢酸菌は、にごり酢やバルサミコ酢、黒酢など昔ながらの製法で作られる酢のほか、ケフィアヨーグルトやナタデココといった発酵食品に多く含まれています。なお、一般的に販売されている透明な酢はろ過されているため、酢酸菌をほぼ含みません。

免疫機能を維持するためには、酢酸菌を含む食品を日常的に食生活に取り入れるのがおすすめです。一方で、腸内環境を整えるためには、特定の食品を過剰摂取するのではなく、栄養バランスを考えた規則正しい食生活をすることも大切です。
食事を見直しつつ、サプリメントなどで酢酸菌を摂取するのもひとつの手といえるでしょう。

生活習慣で免疫機能を維持するポイント

花粉による鼻の不快感は、免疫システムの過剰反応が主な原因です。花粉の影響を和らげるためには、日々の生活習慣を見直し、免疫機能を維持することが欠かせません。ここでは、免疫機能を維持するために重要な生活習慣のポイントを紹介します。

睡眠の質とストレスの管理

免疫細胞の修復や再生には、十分な睡眠が不可欠です。また、睡眠不足やストレスは自律神経のバランスを乱し、結果として免疫機能の低下を引き起こすことが知られています。
つまり、質の良い睡眠をとり、ストレスを管理することが免疫機能の維持につながるといえます。

日頃からきちんと睡眠をとるようにするほか、ストレスを溜めない工夫が大切です。

栄養バランスの良い食事と適度な運動

免疫機能を維持するためには、食事による栄養補給も重要です。
ビタミンD、腸内環境を整える発酵食品、そして食物繊維などを積極的に取り入れた、栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。

一方で、糖質や脂質、アルコールの過剰な摂取は、免疫機能の低下につながるため注意が必要です。
さらに、適度な運動は免疫細胞の働きを高める効果が期待できます。無理のない範囲で、日常的に体を動かす習慣をつけるのがおすすめです。

免疫バランスを整えて花粉の不快感を軽減しよう

花粉による鼻の不快感は、花粉を異物とみなした免疫システムの過剰な反応によって引き起こされます。本来、体を守るための仕組みが過剰に働いてしまうことが原因です。

免疫機能の維持には、腸内環境を良好に保つことが大切です。そのためには、酢酸菌を含む発酵食品を積極的に摂取すること、十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、適度な運動といった生活習慣の改善が欠かせません。

花粉の影響を軽減し、すこやかな毎日を送るためにも、まずは身近な生活習慣の見直しから始め、日頃から免疫機能を維持するよう努めましょう。

よくある質問(FAQ)

花粉が体内に入ると、なぜ鼻の不快感が起こるのですか?

花粉が体内に入ると鼻の不快感が起こるのは、本来は無害な花粉に対して、免疫システムが過剰に反応している状態です。免疫システムが花粉を有害な異物として認識すると抗体が作られ、肥満細胞に付着します。再び花粉が侵入すると、肥満細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出されます。これらの化学物質は、花粉を体外へ排除しようとする防御反応として働き、鼻の不快感を引き起こすのです。

腸内環境が免疫機能と関係するのはなぜですか?

腸内環境が免疫機能と密接に関係しているのは、免疫細胞の約7割が腸に集まっているためです。腸内が酸性の環境に保たれ、善玉菌が優位な状態であれば、腸内の免疫細胞は安定して働きます。しかし、腸内環境がアルカリ性に傾くと悪玉菌が増殖しやすくなり、免疫細胞の働きが不安定になります。

免疫機能を維持するには、どんな生活習慣が効果的ですか?

免疫機能を維持するためには、腸内環境を改善することと、日々の生活習慣の見直しが重要です。具体的には、酢酸菌や乳酸菌を含む発酵食品、食物繊維などを積極的に取り入れた栄養バランスの良い食事を心掛けましょう。また、十分な睡眠をとること、ストレスを溜めないようにリラックスする時間を持つこと、そして適度な運動を継続することが、免疫機能を安定させる上で効果的です。

この記事の監修医師

武井 智昭

小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。

所属学会:日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定インフェクションコントロールドクター(ICO)、抗菌化学療法認定医、日本プライマリケア学会認定医、認知症サポート医、日本小児感染症学会認定医、日本臨床内科医会認定医、日本糖尿病学会認定医、一般社団法人 予防医療研究協会 顧問