物忘れがひどいのは認知症?
加齢?脳の健康を維持する方法を紹介
物忘れがひどいのは認知症?加齢?脳の健康を維持する方法を紹介

公開日:2026年3月24日 更新日:2026年3月24日
物忘れがひどいのは認知症?加齢?脳の健康を維持する方法を紹介

物忘れが度々起こると、「認知症では?」と心配になる方もいるのではないでしょうか。加齢による物忘れと認知症は異なるものであり、正しく理解することで適切な対策につなげられます。

この記事では、加齢による物忘れと認知症の違い、物忘れと脳の健康の関係を紹介します。また、脳の健康を維持するための栄養素と生活のポイントについても見ていきましょう。

加齢による物忘れと認知症の違い

物忘れがひどいと感じたとき、それが加齢による自然な変化なのか、認知症など医療のサポートが必要な状態なのかを理解することで適切な対応が可能です。

加齢による物忘れは、言葉や体験の一部を忘れることがありますが、日常生活に支障はほとんどありません。一方、認知症は体験自体を忘れ、生活に大きな支障が出ます。
加齢による物忘れは、「忘れた」という自覚があり、ヒントがあれば思い出せるのに対し、認知症は「忘れた」という自覚が乏しく、周囲から指摘されても理解できないことが多いとされています。

以下に、加齢による物忘れと認知症の違いについて例を挙げますので参考にしてください。

■加齢による物忘れと認知症の違いの例

記憶の対象 加齢による物忘れ 認知症
言葉 一時的に言葉が思い出せないが、ヒントがあれば思い出せる 単語そのものの意味が理解できなくなる
知っている人であると認識できるが、名前が出てこないことがある 知っている人であることが認識できない、まったく別の人と認識する
何に使う物か思い出せるが、名前が出てこないことがある 何に使うものか認識できない、まったく別の物と認識する

物忘れには脳の健康が関係している

加齢による物忘れは病気ではありませんが、度重なると気になるものです。
物忘れがひどいと感じる場合、脳の健康が十分に保たれていない可能性も考えられます。ここでは、物忘れと脳の健康の関係を紹介します。

脳の健康には血流が大切

脳は酸素や栄養素を多く必要とする臓器です。酸素や栄養素は血によって脳に運ばれており、心臓から送り出される血液のうち約15%が脳に送られるといわれています。
そのため、血流が低下すると脳の健康に影響を与え、考える力や物事を思い出す力が落ちやすくなるのです。

適度な運動やバランスの良い食事で血流を良好に保つことは、脳の健康維持にも役立つとされています。日々の生活習慣を見直し、脳に十分な酸素と栄養素が届く環境を整えましょう。

神経伝達物質と記憶・集中の関係

脳には千億個以上の神経細胞があるといわれます。神経細胞と神経細胞のあいだで情報を受け渡す役割を担うのが、神経伝達物質です。何らかの原因によって神経伝達物質が減少したり、正常に働かなくなったりしてしまうと、記憶や判断、集中、感情のコントロールが困難になります。
瞬間的に言葉が出てこなくなったり、集中しにくくなったりする場合には、神経伝達物質がうまく働いていないのかもしれません。

脳の健康を維持するための栄養素

脳の健康を維持するには、血流を良好に保つ他、神経細胞や神経伝達物質の材料となる栄養素を食事から摂取することも大切です。
ここでは、脳の健康維持に役立つ栄養素と、多く含まれる食品を紹介します。

DHA・EPA

DHAやEPAは細胞膜の材料であり、脳の神経細胞も例外ではありません。特にDHAは脳に多く存在し、血流のサポートや記憶・学習に関わる働きが注目されています。

青魚(サバ、イワシ、サンマなど)に豊富に含まれているため、意識的に食べることをおすすめします。青魚が苦手な場合は、サプリメントなども活用してはいかがでしょうか。

コリン

コリンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの材料です。コリンを積極的に摂取するとアセチルコリンの分泌量が増え、言語記憶力をはじめとした記憶や集中の維持に役立つとされています。

コリンは卵黄に多く含まれているため、毎日の食事に卵を取り入れることがおすすめです。不足が気になる場合は、機能性表示食品などを活用するのもひとつの方法でしょう。

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ビタミンB群

ビタミンB群は、脳のエネルギー代謝や神経伝達物質の合成を助けます。ビタミンB6は神経の働きに、ビタミンB12は神経の維持に関与するとされています。不足すると集中力の低下や疲れの原因になることもあるため、レバー、魚、卵、緑黄色野菜などからバランスよく摂取するのがおすすめです。

ビタミンE

ビタミンEは抗酸化作用をもち、神経細胞を酸化ストレスから守る働きがあります。脳は酸素を多く消費するため酸化されやすく、抗酸化作用をもつビタミンEは脳の健康維持に役立つといわれています。
ビタミンEを多く含む食品は、ナッツ類や植物油、魚介類などです。

ミネラル

ミネラルには多くの種類がありますが、特にマグネシウム、亜鉛、鉄は脳の健康に重要な成分です。
マグネシウムは神経の興奮を調節するのに役立ちます。亜鉛は脳のうち、記憶に関わる海馬という部分に多く存在するミネラルです。鉄は脳へ酸素を届ける赤血球の材料となり、不足すると思考力が落ちやすくなることもあります。
海藻、豆類、レバー、緑黄色野菜などを意識してとるのがおすすめです。

脳の健康を維持するための生活のポイント

脳の健康を維持するには、食生活に加えて生活習慣を意識することも大切です。ここでは、脳の健康を維持するための生活のポイントを紹介します。

質の良い睡眠をとる

脳では、睡眠中に記憶の整理と定着が行われています。そのため、質の良い睡眠は記憶力の維持に直結するといえるでしょう。

質の良い睡眠をとるためには、できるだけ同じ時間に起きて同じ時間に寝るといった生活リズムを整えることが大切です。また、ぬるめのお風呂につかったり、カモミールティーを飲んだりしてリラックスするのもいいでしょう。さらに、室内の温度や暗さといった睡眠環境を整備し、就寝前にスマートフォンを見たりカフェインを摂取したりするのは避けることをおすすめします。

眠れないときの対処法については、こちらの記事をご覧ください。
眠れないときの対処法は?おすすめの食べ物・飲み物、生活習慣を紹介

脳トレや趣味を楽しむ

脳の健康維持には、クロスワードやパズル、新しいスキルの習得など、脳を刺激する知的活動が役立つとされています。手芸や絵画など、手先を使う作業に取り組むのもおすすめです。

また、社会的な交流や趣味を持つことも脳を刺激するといわれています。楽しみながら続けられる活動を、日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

デジタル機器と上手に付き合う

スマートフォンやパソコンの長時間使用は、いわゆる脳疲労を招き、脳の機能低下から物忘れを感じやすくなることがあります。

デジタル機器の使用中は時間を決めて休憩を入れたり、意識的にデジタル機器から離れる時間を長めにとったりするのがおすすめです。

適度な運動を心掛ける

適度な運動は、脳の健康維持に役立つとされています。
有酸素運動は脳の血流を促進し、神経細胞の活性化を助けることが期待されます。ウォーキングや軽いジョギングなど、続けやすい運動から始めてみましょう。

物忘れがひどいと感じたら、脳の健康を維持する習慣を始めよう

物忘れには、加齢による自然な変化と、認知症のように脳の病気が関係するものがあります。物忘れは自然な変化とはいうものの、脳の健康が十分に保たれていない可能性も考えられます。

脳の健康には、血流や神経伝達物質が正常に働くことが欠かせません。日々の食事から脳の健康に役立つ栄養素を摂取するほか、適度な運動、質の良い睡眠、知的活動といった生活習慣を心掛けることが、将来の安心につながるでしょう。

よくある質問(FAQ)

加齢による物忘れと認知症は、どんな違いがありますか?

加齢による物忘れは、「忘れた」という自覚があり、ヒントがあれば思い出せるのに対し、認知症は「忘れた」という自覚が乏しく、周囲から指摘されても理解できないことが多いとされています。
例えば、「何に使う物か思い出せるが、名前が出てこないことがある」という状況は物忘れの特徴、「何に使うものか認識できないか、まったく別の物と認識する」という状況は認知症の特徴と考えられます。

物忘れがひどいのは、どんな原因があるのでしょうか?

物忘れがひどいと感じる場合、脳の健康が十分に保たれていないかもしれません。脳の血流が低下していたり、神経細胞と神経細胞のあいだで情報を受け渡す神経伝達物質の働きが十分でなかったりすると、物忘れを感じやすくなる可能性があります。

脳の健康を維持するにはどうすればいいですか?

DHA・EPA、コリン、ビタミンB群、ビタミンE、ミネラルなどの栄養素を意識して摂取する、質の良い睡眠をとる、知的活動や趣味で脳を刺激する、適度な運動をする、デジタル機器との付き合い方を見直すといったことが挙げられます。規則正しい生活を心掛け、脳の血流と神経の働きをサポートする栄養素を食事から摂取することを意識してみてください。

この記事の監修医師

渡邊 宏行

信州大学医学部卒業後、大学附属病院、クリニック等を経て、現在は、100社以上の企業を担当する産業医一本で活動中(嘱託産業医)。担当する企業の業種は、オフィス、工場、医療・介護施設等、多岐にわたり、メンタル・フィジカルの両面からフォローしている。医師+(いしぷらす)所属。 

所属学会:日本精神神経学会、日本プライマリ・ケア連合学会