体力低下の原因は?
栄養・運動不足や年齢による衰えと予防策を紹介
体力低下の原因は?栄養・運動不足や年齢による衰えと予防策を紹介

公開日:2026年5月21日 更新日:2026年5月21日
体力低下の原因は?栄養・運動不足や年齢による衰えと予防策を紹介

階段の昇り降りが以前よりつらくなった、疲れがなかなか抜けなくなった、電車で空いている席を探すようになった——そんな変化を感じている方もいるのではないでしょうか。「年を取ったから仕方ない」と思うかもしれませんが、体力低下の原因は加齢だけとはいえません。

この記事では、体力低下を示す日常のサインや、栄養不足や運動不足が体力に及ぼす影響、無理ない範囲で取り組める予防と改善のポイントを紹介します。

体力低下のサインとは

体力低下とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。ここでは、日常生活のなかで気づきやすいサインを紹介します。

筋力や持久力の低下

体力低下のサインとして多いのは、筋力や持久力の低下です。
筋力や持久力の低下は、荷物を持ち上げる、椅子から立ち上がるといった筋力が必要なシーンや、階段や坂道を歩く、長時間立っているなど持久力が必要なシーンで自覚することが多いでしょう。

筋力や持久力の低下は、骨格筋量が減少している可能性を示しています。骨格筋とは、骨に付着して手足や体幹を動かす、自分の意思で動かせる筋肉のことです。加齢や疾患により筋肉量が減少することをサルコペニア、心身の活力が低下した状態をフレイルと呼びます。
骨格筋量が減少する主な理由として、加齢に伴って筋肉を構成するたんぱく質を合成する能力が低下することが挙げられます。さらに、日常的な運動量の不足、食事からのたんぱく質摂取量の不足が重なって筋肉の維持や再生が追いつかなくなると、骨格筋量は徐々に減少していきます。
その結果、昔と同じ動作でも必要となる負荷が相対的に大きくなり、以前よりも疲れやすさやつらさを感じてしまうのです。

骨格筋量の低下を簡単にチェックするには、体重や衣服のサイズ、腕や脚の太さの変化を見るといいでしょう。例えば、利き足と反対側の脚のふくらはぎが最も太い位置を、両手の親指と人差し指で輪をつくって軽く囲み、隙間が目立つ場合は、ふくらはぎの筋量の低下が疑われます。ただし、体の作りには個人差があるため、あくまで簡易的なチェックと考えてください。

全身の疲れと食欲のなさ

疲れが抜けにくい、軽い活動でも息切れしやすいといった現象は、体内でエネルギーを産生する能力が低下しているサインと考えられます。加齢や活動量の低下などにより、筋肉や細胞でエネルギーを効率良く作り出す働きが弱まると、わずかな負荷でも息切れやだるさを感じやすくなるかもしれません。

また、体力が落ちると、食欲や食事量が減ることがあります。理由としては、疲労で食事そのものが面倒になりがちなこと、活動量が減って空腹を感じにくくなること、好みや体調の変化に応じた食事内容になることなどが挙げられます。食事量や食事の内容によってはたんぱく質やエネルギーが不足し、体力低下を助長するため、無理のない範囲で食事の工夫を検討するとよいでしょう。

栄養不足が体力低下に与える影響

体力低下の主な原因として、栄養不足が考えられます。過度なダイエットをしているときや、加齢に伴う食事量の減少や食欲の低下があるようなときには、必要な栄養素が不足しがちです。ここでは、栄養不足が体力低下にどのような影響を与えるか見ていきましょう。

たんぱく質の不足による筋力低下

筋肉の主成分はたんぱく質(アミノ酸)であり、たんぱく質が不足すると筋力の低下につながります。食事量が少なかったり、メニューが偏ったりすると、筋肉の維持や合成に必要なたんぱく質が足りなくなり、体力低下を実感することが増えるかもしれません。

また、筋肉の維持や発達には食事からのたんぱく質供給と、筋肉に適度な負荷を与える運動の両方がそろうことが重要です。どちらか一方だけでは、筋量や筋力の維持が難しくなり、階段を昇るといった日常動作でつらさを感じやすくなることがあります。

微量栄養素と水分の不足によるエネルギー低下

ビタミンやミネラルは、エネルギーを生み出す体の働きをスムーズにするために欠かせない微量栄養素で、不足するとエネルギー低下につながります。
特に、ビタミンB群は神経の働きをサポートするほか、糖質やたんぱく質などの代謝に関わる栄養素としても知られ、エネルギーを作る過程を支えます。こうした微量栄養素は食事の偏りが続くと不足しやすい点に注意が必要です。

また、水分は栄養素とはいえないものの、不足すると循環や体温調節に影響し、疲れを強く感じやすくなります。加齢により喉の渇きを感じにくくなるため、こまめに水分をとることが大切です。喉が渇く前に飲むのがコツです。起床時、入浴前後、就寝前など、コップ1杯の水を飲む習慣をつけましょう。

中高年の栄養不足については、こちらの記事をご覧ください。
中高年は栄養不足になりやすい?健康リスクやセルフチェック法を紹介

栄養不足以外の体力低下の要因

体力低下の要因は、栄養不足だけではありません。栄養不足以外に、体力低下を招くと考えられるものを紹介します。

運動不足

運動不足が続くと筋力の維持が難しくなり、体力低下につながります。筋力が落ちて運動がつらくなり、さらに体力が低下するという悪循環を招きかねません。

ストレス

精神的ストレスによって、胃腸の消化機能や睡眠の質が落ちると、体力低下につながります。消化機能が落ちると栄養不足を招き、睡眠の質が落ちると日中のだるさや集中力の低下を招くためです。

加齢

加齢により、筋肉を合成する機能が低下することが知られており、若いときと同じ運動や食事をしていても筋力がつきにくい可能性があります。実は、この筋肉量の減少は老後になってから始まるわけではなく、40代・50代から静かに進行していることがほとんどです。また、加齢は味覚の変化や食事量の減少を招き、栄養不足による体力低下につながることもあります。

体力低下の予防と改善のポイント

体力低下は予防や改善できる余地があるのでしょうか。ここでは、栄養不足と運動不足に着目した対策のポイントを紹介します。

食事の工夫

栄養不足に陥らないためには、毎食、たんぱく質を意識して摂取することが基本です。たんぱく源としては魚、肉、卵、大豆製品、乳製品などがありますが、できるだけ1種類に偏らないように組み合わせるといいでしょう。一般的に成人は体重1kgあたり1g、活動量が多い方は1.2〜1.5gが目安です。
例えば、豆腐、卵、小松菜を中華だしで煮込んだ簡単スープなどはいかがでしょうか。また、ひじきと大豆の煮物のような常備菜を休日にまとめて作っておくと、平日は温めるだけで済むのでおすすめです。
忙しくて食事をコンビニや外食で済ませるときは、主食・たんぱく質・野菜をそろえることを意識して選んでください。

どうしても食事だけで栄養バランスが整えにくいときには、サプリメントを取り入れるのもひとつの方法です。

1袋で31種類の栄養素がまとめて摂取できるマルチビタミンサプリメント「元気セブンSelect」はこちら!

栄養バランスについては、こちらの記事をご覧ください。
五大栄養素とは?その働きや種類、食生活への役立て方を紹介

運動と生活リズム

運動不足を解消するには、いきなりハードな運動をするのではなく、歩行や負荷の軽い筋トレから始めるといいでしょう。週に数回、脚や体幹など全身の筋力に効く運動と有酸素運動を組み合わせ、体調に合わせて徐々に量や強度を増やしていきます。

体幹トレーニングにおすすめの運動はドローインです。仰向けに寝てひざを立て、息をゆっくり吐きながらおなかをへこませた状態を10〜15秒キープします。腰への負担が少なく、運動初心者でも毎日続けやすい運動といえます。
有酸素運動としてはウォーキングがおすすめです。最初は近所を一周する程度から始め、慣れたら少し早歩きを意識しながら15〜20分、週2〜3回を目標にしてみてください。背筋を伸ばして腕を軽く振り、息が少し弾む程度のペースが効果的です。

また、生活リズムを整えることも大切です。起床や就寝のリズムをなるべく一定にして睡眠時間を確保し、きちんと1日3回の食事をとることで消化機能が整い、栄養素の吸収をサポートできます。

記録で変化をつかむ

体重、歩数、歩行の速さ、歩幅など、スマートフォンで記録しやすい指標をチェックすると、変化に気づきやすくなります。機会があれば、握力や片足立ちの秒数などを計測し、数ヵ月ごとに比較するのもおすすめです。数字はあくまで目安ですが、生活の見直しのきっかけになります。

無理のない習慣で、体力の土台を支えよう

体力低下の主な原因は、たんぱく質をはじめとする栄養不足と、運動不足が挙げられます。階段や坂を歩くのがつらい、常にだるさを感じる、食欲がないといったサインを見逃さず、予防と改善の行動を起こすことが大切です。

たんぱく質を確保した食事、活動量を少しずつ増やすこと、生活リズムを整えることで、無理なく体力を支えていきましょう。ご自身のペースで、続けられるところから始めてみてはいかがでしょうか。

よくある質問(FAQ)

筋力や持久力の低下のサインは?

荷物を持ち上げる、椅子から立ち上がる、階段や坂道を歩く、長時間立っているといった動作がつらくなったら、筋力や持久力が低下したサインといえます。
ふくらはぎの太さの変化など、見た目から筋量の減少を簡易チェックすることも可能です。

若くても体力低下を気にするべきですか?

年齢に関係なく、急なダイエット、運動習慣の変化、睡眠不足やストレス、食事量の減少などで体力が低下することがあります。生活の変化があったときは、食事の内容や活動量を見直すとよいでしょう。

低下した体力は、食事を改善するだけで戻りますか?

体力低下を感じた際、食事を改善することは重要ですが、筋力や持久力を保つには運動による刺激も欠かせません。たんぱく質をきちんと摂取することと、適度な運動を組み合わせ、生活リズムも整えると、改善が期待できるでしょう。運動はいきなり激しいものから始めるのではなく、続けられる程度の軽いものから始めるのがおすすめです。

この記事の監修

武井 智昭

小児科医・内科医・アレルギー科医。2002年、慶応義塾大学医学部卒業。多くの病院・クリニックで小児科医・内科としての経験を積み、現在は高座渋谷つばさクリニック院長を務める。感染症・アレルギー疾患、呼吸器疾患、予防医学などを得意とし、0歳から100歳まで「1世紀を診療する医師」として地域医療に貢献している。

所属学会:日本小児科学会専門医・指導医、日本小児感染症学会認定インフェクションコントロールドクター(ICO)、抗菌化学療法認定医、日本プライマリケア学会認定医、認知症サポート医、日本小児感染症学会認定医、日本臨床内科医会専門医、日本糖尿病学会認定医、一般社団法人 予防医療研究協会 監事、一般社団法人医療人材育成機構 理事

※監修の情報は、掲載時点のものです

※掲載している情報は、記事公開時点のものです